稲荷大明神(荼吉尼天

稲荷とは五穀の神で、さまざまな信仰と伝説が絡み今日の稲荷信仰をつくっている。もともと倉稲魂神(うかのみたまのかみ・宇迦之御魂神)を祀ったのが始まりとされる。宇迦とは食(うけ)の意を表し一切の食を司る神という食料生産の神ということになる。稲荷の語源は稲穂がたわわに稔った状態から稲荷「稲生」になったという伝説がある。稲荷翁像は弘法大師が京都・東寺の近くを通ったおり、稲を担いだ老人に出会い、数々の尊い教えを説いたので神に違いないと考え、稲荷明神として祀ったとある。また、稲荷と関係の深い狐については仏教の荼吉尼天(人間の心臓を食う夜叉として神通自在の通力を有し、六ヶ月前に人間の死を知るという)と稲荷神社が習合し、荼吉尼天が狐に乗っている姿を表したという説と稲荷の別名(御食津神)を三狐(みつけ)とした説がある。これからは、狐は稲荷明神の使いであるとされ、神道で従五位から正一位は神階を表し、仏教では修行期間によって、野狐、管狐、飯綱狐、天狐、銀狐、金狐があるとされる。稲荷明神は商工に携わる人々の信仰を集め、全国各地に勧請されている。